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ホームズシリーズ短編集「シャーロック・ホームズの冒険」の7話目「青いガーネット」。
原題は”The Adventure of the Blue Carbuncle”
この”Carbuncle(カーバンクル)”とは赤い宝石のことらしいので、直訳すると「青くて赤い宝石」?
- 新潮文庫と光文社文庫は「青いガーネット」
- 創元推理文庫は「青い柘榴石(ざくろいし)」
青くて赤いってどういうこと?と、たくさんのシャーロッキアンの方たちが考察されているようです。
私は単純に「それほどに珍しい宝石」という比喩表現だと解釈しています。
なので、新潮文庫で延原謙氏が最初に訳した「青い紅玉」が好きです。(今は改訂されて「青いガーネット」になっている)
”青い紅玉”
ワクワクしてきませんか?(笑)
青い紅い玉ですよ、青くて、赤い、玉。
とんでもなく美しく、しかしながら怪しい光を放ち、
この世界に二つとない宝石なんじゃないかなって思うんです。
小学校のころからホームズにはまり、40代の今また読み返している管理人が独断と偏見でお送りしております。プロフィールはこちら→最初の挨拶
過度なネタバレはせずに、シャーロック・ホームズシリーズの短編小説「青いガーネット」について、基本情報・あらすじ・事件概要・感想・管理人あさもりがチョイスした名言を知ることができます。
- クリスマス時期のホームズ作品を読みたい
- ちょっと風変わりな事件を読みたい
- ホームズとワトスンの捜査に同行したい
ガチョウが三度の飯より好きだ
それではどうぞ!
「青いガーネット」が収録されている短編集はこちら!↓↓
「青いガーネット」基本情報
原題 | The Adventure of the Blue Carbuncle |
収録本 | シャーロック・ホームズの冒険(短編集)7話目 |
発表順 | 9番目/60作品中(1892年1月) |
一口メモ | クリスマス時期の事件 |
登場人物
登場人物を紹介するよ!
- シャーロック・ホームズ
- ジョン・H・ワトスン
- ピータースン(守衛/依頼人?)
- モーカー伯爵夫人(青いガーネットの持ち主)
- ジョン・ホーナー(配管工/窃盗容疑で逮捕)
- ブラッドストリート警部(新聞記事に名前のみ/唇の捩れた男に登場)
- ヘンリー・ベーカー(帽子と鵞鳥の持ち主)
- オークショット夫人(鵞鳥の仕入れ先/ライダーの姉)
- ジェームズ・ライダー(コスモポリタン・ホテルのボーイ長)
- キャサリン・キュザック(モーカー夫人の小間使い)
あらすじ
クリスマスが終わった2日目の朝。
ワトスンがベーカー街を訪ねると、堅いフェルト帽をホームズが観察しているところだった。
この帽子と鵞鳥(ガチョウ)を拾った守衛のピータースンが困って、ホームズに相談に来たという。
鵞鳥はピータースンが家に持ち帰り家族で食べることにし、帽子はホームズが調べることになった。
ホームズとワトスンが帽子について意見していると、ピータースンが慌てて駆け込んできた。
鵞鳥の胃袋から宝石が出てきたというのだ!
それは青いガーネット。
モーカー伯爵夫人がクリスマス前に盗まれた、いわくつきの青いガーネットだった。
夫人のホテルの部屋に修理に来た配管工のジョン・ホーナーが窃盗容疑で捕まっているというが、宝石はいまだ見つかっていなかった。
ジョン・ホーナーは本当に犯人なのか?
なぜ鵞鳥の胃袋から青いガーネットが出てきたのか?
クリスマスに起きた童話のような不思議な事件
ホームズとワトスンと一緒に調査している気分になれる作品
事件の概要
突っ込みどころ満載よ!
そうだね(笑)
見どころも満載にゃ♪
それでは今回はイラストでお送りします
イラストかぁ
やめろ!!
なにこれ?!
え?!
なにこれ????
守衛のピータースンが帽子と鵞鳥を拾ったので、ホームズへ相談に来ました。
帽子とガチョウらしいにゃ
鵞鳥は悪くならないうちにピータースンの家族が食べることになり、帽子はホームズが引き取り調査することに。
絵が壊滅的にへたにゃ・・
話しが全く入ってこないww
帽子の調査中にワトスンがやってきて話していると、ピータースンが駆け込んできました。
なんと、鵞鳥の餌袋(えぶくろ)の中から、宝石が出てきたというのです!
こっち見てるwwwwww
なんちゅう顔してんのwwwww
横の青いやつはもしや宝石のつもりか?
実はクリスマス前からこの青い宝石・すなわち青いガーネットが盗まれており、警察が血眼になって行方を追っていたのです。
ちょウケる、盗まれてた青いガーネットが鵞鳥から出てきたんだってwwww
ええええ?!
待って待って、盗まれてた青いガーネットが鵞鳥の餌袋から出てきたの?!
その通り
なぜ鵞鳥の餌袋から盗まれた宝石が出てきたのか
単純な落とし物事件と世間をにぎわせている窃盗事件がつながったという、なんとワクワクする展開!
まさに点と線にゃ♪
・・・何この「Newガチョウ」って
このNewガチョウも、大切な役割を担っているのです。
こ、今回はこれで終わるにゃ♪
また懲りずに見にくるにゃ♪
【ネタバレあり】感想
いやー、この事件、とても好きです(笑)
なんというか単純に面白いです。
ここからはネタバレを含みますので、嫌な人はまとめへジャンプか、ブラウザをそっと閉じてください。
ネタバレ嫌な人→青いガーネット:まとめ
♪ジングルベル~ネタバレをするんだよVer.~
するんだよー、するんだよー、ネタバレをー、するんだよー
ネタバレをー、するからねー、いやなひとはここでさよなら
ヘイ!
ヘンリー・ベーカーとの対峙
このシーン、とても重要かつ素晴らしいシーンになってますね。
新潮文庫だと245ページです。
ヘンリー・ベーカーが帽子と鵞鳥を落としたことはまちがいない。
ホームズもヘンリー・ベーカーはおそらく青いガーネットとは関係ないだろうと言っています。
でも念のため本人に簡単なテストをしてみる、とのこと。
これが実に自然で面白い。
さらには「Newガチョウ」がとてもいい役割を果たします。
チェックしてね!
ホームズとワトスンの調査に同行気分♪
なんというクリスマスプレゼントでしょう!
ホームズとワトスンと一緒に捜査している気分になれます!
ヘンリー・ベーカーが持っていた鵞鳥の出所を追いかけるホームズとワトスン。
まずはヘンリー・ベーカーとの対話、次に居酒屋の亭主、それから鳥卸屋の主人・・・
仕入れた情報になぞって聞き込みに行く、足を使った捜査。
楽しい、楽しすぎる。
鳥卸屋主人との駆け引き
最強です、ホームズさん、いやぁ、本当に最高です。
新潮文庫だと249ページ。
こんな話術、思いつきますか?
いや、思いつかない(笑)
「躍起にもなりまさアね。お前さんだってこんなに小うるさく尋ねられたら、きっと腹をたてますぜ。私はいい品にはいい値をつける。それで何もいうこたアねえんだ。それをお前さん、やれ鵞鳥はあるかの、どこへ売ったかの、いくらで売るのかって騒ぎだ。ひとが聞いたら世の中にはほかに鵞鳥はいねえのかと思いますぜ」
シャーロック・ホームズの冒険/青いガーネット/新潮文庫・延原謙訳より
ここまで怒っている人を静められますか?!
しかも、たったひとつのキーワードで欲しい情報を教えてくれたんです。
読んでいて「あ、怒っちゃった、どうしよう」と思ったんですけど、見事な話術でした。
最高、最高です、最高でした、の三段活用です。
トリックと犯人について感想
トリックはなんだろうな・・・「ガチョウ」かなぁ(笑)
盗んだものを隠したのに、それがどこへ行ったのか分からなくなった、ということでしょうか。
似たような作品がありますね。
「六つのナポレオン」です。
こういった話が好きな方はぜひ読んでみてくださいね!
六つのナポレオン
シャーロック・ホームズの帰還(生還・復活)に掲載されています。
が、
一話目の「空家の冒険」は「シャーロック・ホームズの思い出/最後の事件」を読んでから読んでください。ここを間違えると面白さが激減しますし、なんのこっちゃ分かりません!
【!超重要事項!】最後の事件より前に空き家の冒険を読んではいけない!シャーロック・ホームズシリーズを読む順番について補足
これは本当に気を付けてくださいね!ガアガア
青いガーネット:名言
今回はふたつご紹介します
君は何もかも見ているくせに、推理するということをしない
これは三社から引用しましょう!
それぞれの訳の特徴が出ていて、本当に面白いですね。
新潮文庫・延原謙訳から引用
「わからないはずはないがねえ。君は何もかも見ているくせに、見たものから推理するということをしないんだ。もっと大胆に推理し論断しなきゃだめだよ」
光文社文庫・日暮雅道訳から引用
「わからないことはないさ、ワトスン。きみには何もかも見えているはずだ。ただ、見たものから推理を進められないだけだ。臆病すぎて、思い切った推論ができないんだよ」
創元推理文庫・深町眞理子訳から引用
「それはちがうぞ、ワトスン。きみにはすべて見えているはずだ。ただ、見たものから推理を組み立てることに成功していない。思い切って推論を導きだそうとすることに臆病なんだ」
新潮文庫は実在しそうな、もう声が聞こえてきそうなセリフです。
光文社文庫はできるだけ表現をシンプルにまとめています。
創元推理文庫はなんでしょう、小劇場でのセリフみたいですね。言い回しが。
ちなみに原文はこうです。
“On the contrary,Watson,you can see everything.You fail,however,to reason from what you see,You are too timid in drawing your inferences.”
THE ADVENTURES OF SHERLOCK HOLMES/The Adventure of the Blue Carbuncle/by Sir Arthur Conan Doyleより
胸にグサリとくる言葉ですね(笑)
こういうところに憧れて真似しようと思っていたはずなんですが、さっぱり出来ていない。
家の階段の数は数えましたが、娘の幼稚園へ行く途中の階段の数は数えていません。
そういうところだよ、あさもり。
ちょっとした推理遊びだと思っていたら
どうだい、ワトスン。ちょっとした推理遊びだと思っていたら、いきなりきわめて重大な、しかも犯罪に関係のありそうなものになってきたじゃないか。
シャーロック・ホームズの冒険/青いガーネットP283/光文社文庫・日暮雅道訳より
いやもう、しびれますな(笑)
このときのホームズはきっと、子供のような無邪気でキラキラした顔をしてるんだろうな。
私はどうしてもジェレミー・ブレットで変換される(笑)
青いガーネットの感想と名言:まとめ
シャーロック・ホームズシリーズ短編「青いガーネット」について書いてきました。
もう読んでいる方もまだ読んでいない方も楽しめていただけると嬉しいです!
簡単にまとめますと、
青いガーネットのまとめ
- 落とし物のガチョウから宝石が出てくる
- その宝石をめぐって落とし物事件から大事件へと変貌
- ホームズの聞き込みがたまらなく素敵
- クリスマスにガチョウが食べたくなる
- クリスマス時期のホームズ作品を読みたい
- ちょっと風変わりな事件を読みたい
- ホームズとワトスンの捜査に同行したい
ガチョウが三度の飯より好きだ
こんな感じですか。
クリスマスの時期にぜひ読んでほしいと書いてきました。
ちょっと遅くなりましたけど、なんとかクリスマス前に投稿できました。
間に合ってよかったガア
ぜひ読んでいただけると嬉しいです!
「青いガーネット」が収録されている短編集はこちら↓
もうすでに読んだよっていう方は、他の出版社を読んでみてはいかかですか?
3つの出版社を比べてみた【新潮文庫・光文社文庫・創元推理文庫】シャーロック・ホームズシリーズ原作
それぞれ個性があって、とても面白いですよ!