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ホームズシリーズ短編集「シャーロック・ホームズの冒険」9話目「技師の親指」。
この作品はとても表現が生々しいです。
読んでいるだけで「いててててててて」となる描写があります。
そして、それを診察するワトスンの様子が細かく書かれています。
ワトスンファンにとっては必読の事件と言えるでしょう!
小学校のころからホームズにはまり、40代の今また読み返している管理人が独断と偏見でお送りしております。プロフィールはこちら→最初の挨拶
- この記事で分かること
- 過度なネタバレはせずに、シャーロック・ホームズシリーズの短編小説「技師の親指」について、基本情報・あらすじ・感想・管理人あさもりがチョイスした名言を知ることができます。
「技師の親指」はこんな人におススメ!
- ワトスンが大好き
- 医師として開業しているワトスンの様子が見たい
- あまりホームズが出てこなくてもよい
- ホラー好き
- スッキリしない事件が三度の飯より好き(どんなや
それではどうぞ!
「技師の親指」が収録されている短編集はこちら↓※新潮文庫は「シャーロック・ホームズの叡智」に収録されています※
「技師の親指」基本情報
原題 | The Adventure of the Engineer’s Thumb |
収録本 | シャーロック・ホームズの冒険(短編集)9話目 |
発表順 | 11番目/60作品中(1892年3月ストランド誌) |
一口メモ | 表現が生々しい、ホラー寄りの事件 |
登場人物
登場人物を紹介するよ!
- シャーロック・ホームズ
- ジョン・H・ワトスン
- ヴィクター・ハザリー(依頼人・水力技師)
- ライサンダー・スターク(陸軍大佐)
- ファーガスン(スタークの秘書兼支配人)
- エリーゼ(スタークと親しい?女性)
- ブラッドストリート警部(警視庁)
- 刑事一名
あらすじ
1889年の夏。
パディントン駅からそう遠くないところで開業していたワトスンの元に、片手にハンカチを巻き付けた男・ヴィクター・ハザリーが車掌に連れられてやってきた。
ハンカチは血だらけで、親指が切り落とされたという。
過失ではなく、殺されるところだったと話すハザリー。
ワトスンはホームズを紹介するため、一緒にベーカー街へ向かった。
ハザリーの語る恐ろしい出来事とは?
彼の親指はどこへ消えたのか?
ワトスンの開業医としての様子が読める、貴重な作品!
「技師の親指」が収録されている短編集はこちら↓
豆知識
今回は初の試み、「豆知識」のコーナーを設けてみました!
ちょっとした裏話です
ヴィクター・ハザリーとコナン・ドイル
ヴィクター・ハザリーは水力技師として独立するも、毎日朝の9時から午後4時まで小さな事務所で客を待つ生活を送っていました。
独立後の2年間の収入が「27ポンド10シリング(約66万円)」。
うーん、少ない(涙
実はこのヴィクター・ハザリーは、作者のコナン・ドイル自身がモデルではないかと言われています。
コナン・ドイルも医師として開業しましたが、朝の9時から午後4時まで小さな部屋で座っていたと話しており、ハザリーの生活と重なります。
また、最初の物語である「緋色の研究」の報酬は「25ポンド(約60万円)」。
うーん、少ない(笑)
ドイルの経験をそのままハザリーに反映したのかもしれませんね。
しかしながら、怪しさ満載のスターク大佐から提示された金額は、なんと一晩で「50ギニー(約126万円!)」というから驚きです。
怪しいと思いながらも、ハザリーが仕事を受けてしまうのも分かりますね。
ベッカー博士とビーチャー博士
和訳についての豆知識というか情報です。
問題の原文はこちらです。
“Dr.Becher’s.”
The Complete Sherlock Holmes/The Adventure of the Engineer’s Thumb/by Sir Arthur Conan Doyleより引用
この部分ですが、新潮文庫・光文社文庫・河出書房では「ベッカー博士」と訳されています。
しかし、創元推理文庫は「ビーチャー博士」となっているのです。
創元推理文庫は比較的新しい訳なので、なにか新しい発見があったのかな、と思いました。
【ネタバレあり】感想
ここからはネタバレを含みますので、嫌な人はまとめへジャンプか、ブラウザをそっと閉じてください。
ネタバレ嫌な人→まとめにジャンプ!
「技師の親指」が収録されている短編集はこちら↓
ワトスンがホームズを紹介する事件
ワトスンが依頼人にホームズを紹介した事件はふたつ。
- ハザリー氏の親指事件・・・・・・・本作・技師の親指
- ウォーバートン大佐の発狂事件・・・未発表
ということで、とてもめずらしい事件の始まり方と言えます。
冒頭からワトスンの開業医ぶりが描かれ、ホームズはほとんど出てきません。
ワトスンファンにおススメしたい事件です。
なんともスッキリしない結末
この「技師の親指」という作品ですが、子供のころに読んで、ものすごく記憶に残っているんですよね。
親指がなくなった手をワトスンが治療しているシーンは、口の中に血の味がしてくるぐらい生々しい描写です。
しかし、今回読み返してみると、なんともスッキリしない作品だなぁという印象。
結局犯人は捕まらず。
ハザリーの言葉でしか事件が成立していないんです。
なので、
全部ウソ
という可能性だってあるわけでして。。。
あとさぁ、ホームズが主役っぽくないよね
ほとんど出てきませんし、推理したのもハザリーが連れていかれた場所だけ。
かといってワトスンでもない気がします。
ワトスン視点なんだけど・・神視点とまでいかないけど、うーん、スッキリしません(笑)
そう、ハザリーを中心に描かれているように感じました。
みなさんはどう思いましたか?
技師の親指:名言
今回はふたつご紹介します
ワトスンの治療シーンが最高
名言ではないのですが、冒頭の始まりからワトスンがハザリーの治療をしているシーンまでが、最高にカッコイイですよね。
ですよね?
なぜだか分からないけど、とても印象に残っているんです。
特に治療が終わったこの描写。
傷口を海綿で洗いきよめ、手当てしてからガーゼをあてて石炭酸消毒の包帯をした。
中略
「たいへんいいです。ブランディと包帯のおかげで、すっかり元気になりました」
シャーロック・ホームズの叡智・技師の親指/新潮文庫・延原謙訳より
行って戻ってくる
そんなにすごいこと言ってる?
と、現代を生きる人たちは言うかもしれませんね(笑)
私は、これ、始めて見たとき度肝を抜かれましたよね。
敵のアジトはいったいどこだろう、とみんなで知恵を出し合うシーン。
馬車で12マイル走って連れていかれた、と主張するハザリー。
誰もが駅から12マイル離れた場所だと考えます。
しかし、実際には6マイル行って6マイル戻ってきたんです。
そうすると、距離としては・・・そう、ゼロですね。
発想の転換がすごいです。
そんなすごいこと言ってる?
言ってます、だって、132年前に書かれているんですよ!
しかもこのトリックのために、必要性を感じない「刑事1名」を登場させて、わざわざ5人にしているんです。
- 南…ブラッドストリート警部
- 東…ハザリー
- 西…刑事1名
- 北…ワトスン
- 中心…ホームズ
この当時、こういう発想は珍しいものだったのではないでしょうか。
だからわざわざ5人にした。
ドイル的には力作だったと思います。多分。
技師の親指の感想と名言:まとめ
シャーロック・ホームズシリーズ短編「技師の親指」について書いてきました。
なんともスッキリしませんが、ワトスン好きの方は絶対に読んでほしい作品です。
白飯3杯行けます(笑)
簡単にまとめますと、
「技師の親指」のまとめ
- ワトスンがかっこいい
- 生々しい傷の描写がある
- ホームズはちょっと脇役
- あきらかに人数合わせの刑事1名がいる(笑)
「技師の親指」はこんな人におススメ!
- 医師として開業しているワトスンの様子が見たい
- ワトスンが大好き
- あまりホームズが出てこなくてもよい
- ホラー好き
- スッキリしない事件が三度の飯より好き(どんなや
こんな感じですか。
ホラー要素、恐怖体験、読んでいるだけで痛い!
しかし、ワトスン好きは必読の事件となっております。
ぜひチェックしてくださいね!
「技師の親指」が収録されている短編集はこちら↓※新潮文庫は「シャーロック・ホームズの叡智」に収録されています※
もうすでに読んだよっていう方は、他の出版社を読んでみてはいかかですか?
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それぞれ個性があって、とても面白いですよ!