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ホームズシリーズ短編集「シャーロック・ホームズの冒険」の4話目「ボスコム谷の惨劇」。
ボスコム谷の惨劇では「ダイイングメッセージ」が登場します。
コナン・ドイルが自ら考えだしたのか、何らかからヒントを得たのかは不明。
しかし、世に初めてダイイングメッセージを送り出した作品と言えるでしょう。
小学校のころからホームズにはまり、40代の今また読み返している管理人が独断と偏見でお送りしております。プロフィールはこちら→最初の挨拶
過度なネタバレはせずに、シャーロック・ホームズシリーズの短編小説「ボスコム谷の惨劇」について、基本情報・あらすじ・事件概要・感想・管理人あさもりがチョイスした名言を知ることができます。
- 殺人事件が読みたい
- ダイイングメッセージが三度の飯より好き
- 四つの署名のメアリー・モースタンが好き
- ロンドンじゃない田舎の感じを味わいたい
それではどうぞ!
「ボスコム谷の惨劇」が収録されている短編集はこちら!↓↓
「ボスコム谷の惨劇」基本情報
原題 | The Boscombe Valley Mystery |
収録本 | シャーロック・ホームズの冒険(短編集)4話目 |
発表順 | 6番目/60作品中(1891年10月) |
一口メモ | ホームズシリーズ初のダイイングメッセージが登場する作品 |
登場人物
登場人物を紹介するよ!
- シャーロック・ホームズ
- ジョン・H・ワトスン
- メアリー・ワトスン
(四つの署名のメアリー・モースタン。ワトスン夫人となって再登場) - ジョン・ターナー(大地主)
- アリス・ターナー(ジョン・ターナーの娘)
- チャールズ・マッカーシー(被害者)
- ジェームズ・マッカーシー(被害者の息子)
- レストレード警部(依頼人)
あらすじ
物語はワトスンとワトスン夫人(メアリー・モースタン)が朝食をとっているときに届いた電報から始まる。
ホームズから「事件に同行しないか」というお誘い電報です。
ワトスンは急いで身支度をし、ボスコム谷へ向かう電車の中で事件の概要を聞きます。
ある男が殺された。
死ぬ間際に「ねずみ」と言い残したという。
状況証拠は被害者の息子が犯人だと示しています。
ほどなく彼は逮捕されました。
しかし、彼の無罪を主張する人物が。
果たして真犯人はいるのか?
死に際に残した「ねずみ」は何を指すのか?
探偵の特権を生かした衝撃の解決策!
ホームズの結論はいったい――?
事件の概要
事件の概要をまとめるよ
- ジョン・ターナーは大地主で18歳の娘アリスがいる
- チャールズ・マッカーシーはジョンから土地を借りていて、18歳の息子ジェームズがいる
- 2人ともオーストラリア帰りで、妻を亡くしている
ジョンとチャールズは元々知り合いなのね
- 6月3日月曜日、チャールズ・マッカーシーは人に会う約束のため、3時に家を出てボスコム沼へ向かった
- ボスコム沼へ行くチャールズを目撃したうちの一人は、チャールズを見た2・3分後に、息子のジェームズ・マッカーシーが鉄砲を抱えてチャールズの行った方へ歩いていくのを見た
チャールズを追いかけて行ったのか?
- ボスコム谷でペーシェンス・モーランという少女が、マッカーシー父子がはげしく言い争っているところを目撃する
- ペーシェンスが家に逃げ帰り母親に見たことを話していると、ジェームズがやってきて父親が死んでいるから手を貸してほしい、と頼んだ
いやいやいやいや、よく言えたね
ペーシェンスが見ていたことを知らないからね
- みんなで沼へ行ってみると、チャールズ・マッカーシーが頭を鈍器でめちゃめちゃに殴られて草の上で死んでいた
- 死体から数歩のところにジェームズの鉄砲が転がっている
- 状況証拠から息子のジェームズが逮捕
この状況だと逮捕は致し方ないにゃ
- ジェームズの無実を信じるひとりであるアリス・ターナーは、スコットランドヤードのレストレード警部に直訴
- レストレード警部からホームズへと依頼が来た
依頼人はレストレードだけど、アリス・ターナーでもあるのね
そうだね、アリスの思いがレストレードを動かしたんだね
【ネタバレあり】感想
ここからはネタバレを含みますので、嫌な人はまとめへジャンプか、ブラウザをそっと閉じてください。
ネタバレ嫌な人→ボスコム谷の惨劇の感想と名言:まとめへジャンプ!
いいですね、ネタバレしますよ、ネッタバレバレ、ネッタバレバレ、ネッタバレバレ
すー
るー
よー!
「ボスコム谷の謎」か「ボスコム谷の惨劇」か
この作品の原題は「The Boscombe Valley Mystery」。
直訳すると「ボスコム谷の謎」になりますね。
しかし、新潮文庫を始め過去のさまざまな出版社では、「惨劇・秘密」などと訳されてきました。
私は「秘密」が好きです。
レストレードから見ると「謎」かもしれません。
ホームズから見ると「秘密」かな?
でもある人物から見ると「惨劇」となり得ます。
正解はない、好みにゃ♪
メアリー・モースタンが再登場!(ワトスン夫人)
長編2作目の「四つの署名」でホームズに依頼してきたメアリー・モースタンが、なんとワトスン夫人となって再登場しています。
これは胸熱!
ボスコム谷の惨劇は発生年が不明です。
日付に関しては6月3日の月曜日ということだけ記載があります。
メアリーがワトスン夫人となり登場しているので、少なくとも四つの署名より後の事件だということが分かります。
1888年以降の事件にゃ♪
メアリー・モースタンの初登場作品をチェックしたい方はこちらをチェック!
毎年決まった日に高価な真珠が送られてくるという、不思議な出来事から始まる事件です。
【四つの署名】あらすじと感想と名言!【シャーロック・ホームズシリーズ長編第2弾】コナン・ドイル原作
トリックと犯人について感想
ボスコム谷の惨劇は、冤罪を扱った事件でもあります。
無実なのに犯人として扱われることにゃ
ホームズがどうやって真実にたどり着き、無実の息子を助けるのか?も気になりますが、
ホームズが真実を知ってどうするのか?が見どころ。
「私は警察のものではありません」
シャーロック・ホームズの冒険・ボスコム谷の惨劇、新潮文庫・延原謙訳より
中略~
「ただ、ジェームズ君だけは助けなければなりません」
真実は公にはしないが、無実のジェームズは助けなければならない。
しびれるセリフです。
しかし、小説だからこそ、許される結末でもある
そうだね、物語のなかだからね
どうしてもいっこだけ気になる点について述べる
今回久しぶりにボスコム谷の惨劇を読んで思ったんです。
レストレード警部は真犯人にたどり着けなかったのかな
- 背が高い
- 左利き
- 男
- 右足を引きずっている
- 灰色の外套を持っている
- パイプでインド産の葉巻を吸う
- よく切れないペンナイフを持っている
背が高い左利きの男で右足を引きずってる・・
結構な特徴じゃない?
真犯人は事件のあと7か月は生きていました。
そのあいだ、捜査はされなかったのか。
スコットランドヤードのレストレード警部が担当の事件ではなかったかもしれないが、あまりにもお粗末なのではなかろうか。
「これでもわたしは実際的な人間でしてね。まさかそんな、左利きで、片足が不自由な紳士、ただそれだけの手がかりで、広い田舎をやみくもに駆けずりまわるわけにはいかないんです。そんな真似をしてごらんなさい、スコットランドヤードでいい笑いものになってしまいますよ」
シャーロック・ホームズの冒険・ボスコム谷の惨劇・創元推理文庫・深町眞理子訳より
この言葉通りに受け取ると、このような田舎で動機やはっきりとした証拠がないのに動きたくない、ということ?
そんなこと気にせず、動けるようにならないとダメにゃ
いや、あんた本当に何者よ(笑)
ボスコム谷の惨劇:名言
今回はふたつご紹介します
簡単なほど、おそろしくむずかしい
「簡単な、それでいておそろしくむずかしい事件らしい」
シャーロック・ホームズの冒険・ボスコム谷の惨劇・新潮文庫・延原謙訳より
「簡単でむずかしいとは、なんだかすこし逆説めいていいるぜ」
「ところがまったくそのとおりなんだ。事件の異常さというやつは、それ自身一つの手掛かりになる。犯罪は特色のない変凡なものほど、犯人を突き止めにくいものだ。」
「平凡なものほど真実が見えにくい」というような内容を、ホームズはよく発言しています。
真実はときに残酷で、日常の中に潜んでいるものかもしれませんね。
状況証拠は当てにならない
「状況証拠ってやつが、きわめつきのくせものだ」ホームズは考え深げに言った。
シャーロック・ホームズの冒険・ボスコム谷の謎・光文社文庫・日暮雅道訳より
「ある一点をまっすぐに指し示しているかと思うと、ちょっと視点をずらしただけで、これまた同じくらいはっきりと正反対の方向を指し示してしまうものなんだよ。」
凝り固まった視点はよくない、ということですね。
胸に突き刺さりますね(笑)
いろいろな視点から、物事を判断できる人間になりたいな
ボスコム谷の惨劇の感想と名言:まとめ
シャーロック・ホームズシリーズ短編「ボスコム谷の惨劇」について書いてきました。
もう読んでいる方もまだ読んでいない方も楽しめていただけると嬉しいです!
簡単にまとめますと、
- ダイイングメッセージが登場
- ワトスン夫人として四つの署名のメアリー・モースタンが登場
- 探偵の特性を生かした解決策
- 単純な事件ほどおそろしくむずかしい
- 殺人事件が読みたい
- ダイイングメッセージが三度の飯より好き
- 四つの署名のメアリー・モースタンが好き
- ロンドンじゃない田舎の感じを味わいたい
こんな感じですか。
だんだん適当になってきました、みなさんついてこれていますか。
久々の(?)ガッツリした殺人事件です。
ぜひ読んでいただけると嬉しいです!
「ボスコム谷の惨劇」が収録されている短編集はこちら↓
もうすでに読んだよっていう方は、他の出版社を読んでみてはいかかですか?
3つの出版社を比べてみた【新潮文庫・光文社文庫・創元推理文庫】シャーロック・ホームズシリーズ原作
それぞれ個性があって、とても面白いですよ!