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ホームズシリーズ短編集「シャーロック・ホームズの冒険」の11話目「緑柱石の宝冠」。
今回読み返してみてネットで検索してみたところ、「The Eerald crown」という邦題が出てきました。
ドイルの書いた原文ではないし、これは何だろう?と和訳してみたところ、「エメラルドの宝冠」。
どうやら英語の教材としてホームズシリーズが扱われており、やさしい英語表記に変えられているんですね。
- 緑柱石は「ベリル」と呼ぶらしい。
- エメラルドは緑柱石の一種なんだとか。
へぇ~ボタンがあれば押したい(分かる人いたらコメントください笑)
小学校のころからホームズにはまり、40代の今また読み返している管理人が独断と偏見でお送りしております。プロフィールはこちら→最初の挨拶
- この記事で分かること
- 過度なネタバレはせずに、シャーロック・ホームズシリーズの短編小説「緑柱石の宝冠」について、基本情報・あらすじ・事件概要・感想・管理人あさもりがチョイスした名言を知ることができます。
「緑柱石の宝冠」はこんな人におススメ!
- 単純に見えて複雑な事件が好き
- 物語とは別の裏話が好き
- いつもの名言が読みたい
- ホームズの変装が見たい
- ホームズお手製サンドウィッチが食べたい
それではどうぞ!
「緑柱石の宝冠」が収録されている短編集はこちら!↓↓※緑柱石の宝冠は新潮文庫では「シャーロック・ホームズの叡智」に収録されています※
「緑柱石の宝冠」基本情報
原題 | The Adventure of the Beryl Coronet |
収録本 | シャーロック・ホームズの冒険(短編集)11話目 |
発表順 | 13番目/60作品中(1892年5月) |
一口メモ | ホームズが作ったサンドウィッチが登場 |
登場人物
登場人物を紹介するよ!
- シャーロック・ホームズ
- ジョン・H・ワトスン
- アレクサンダー・ホールダー(銀行の頭取)
- アーサー・ホールダー(アレクサンダーの息子)
- メアリー(アレクサンダーの姪)
- サー・ジョージ・バーンウェル(アーサーの悪友)
- ルーシー・パー(ホールダー家の小間使い)
- フランシス・プロスパー(八百屋・片足が木の義足)
あらすじ
ある2月の朝。
アレクサンダー・ホールダーは前日の雪が残る中、発狂しそうになりながらベーカー街221Bにやってきた。
アレクサンダーはロンドンの下町で2番目に大きな民間銀行の頭取。
昨日の朝のこと。
世界中の人が知っていて、イギリス最高の最も身分の高い、それでいて最も高貴な、さらには最も尊いお方が、銀行にいるアレクサンダーを訪ねてきた。
高貴なお方は、担保として国宝である「緑柱石の宝冠」を預けるので、早急に5万ポンド(約12億円!)を用立ててほしい、とのこと!
期限は4日後の月曜の朝まで。
アレクサンダーは高貴なお方に5万ポンド(約12億円!)をわたし、緑柱石の宝冠を預かった。
しかし、預かった宝冠を銀行に置いたまま帰宅することが怖くなり、期限である月曜日まで自分の近くで保管しようと決心したアレクサンダー。
さっそく自宅へと運び、化粧室にある鍵付きのタンスへとしまった。
その晩のこと。
物音がしたのでアレクサンダーは化粧室へ向かった。
そこには、緑柱石が3つもぎ取られた宝冠を持っている息子アーサーの姿が!
アーサーはさらに宝冠をねじ曲げようとしていた――
アーサーは逮捕されるも、緑柱石の宝冠は見つからず。
警察の助言もあり、ホームズへと助けを求めてやってきたという。
果たしてアーサーは犯人なのか?
どうやって緑柱石をもぎ取ったのか?
そして緑柱石はいったいどこへ隠されたのか?
短編でありながら読み応え抜群のエピソード。
親子の信頼について考えさせられる作品にもなっている。
事件の概要
事件の概要をまとめるよ
アレクサンダー・ホールダー家に関わる人物を整理してみましょう。
召使い
- 馬屋番と給仕は通いで、寝泊りはしていない
- メイド3人は信用のおける人物たち
- 数か月前に雇い入れた小間使いルーシー・パーは美しい娘で、立派な推薦状を持っており非の打ちどころがない
家族
- 妻を亡くしている
- アーサー(息子・甘やかせてしまった)
- メアリー(アレクサンダーの姪)
召使いたちのことはとても信頼しているようだね
家に持ち帰った宝冠については、コーヒーを飲みながら息子のアーサーと姪のメアリーにだけ話した様子
しかし、コーヒーを持ってきた小間使いのルーシーが、話を聞いていなかったとは言い切れないにゃ♪
宝冠が家にあることを知っていたのは、アーサーとメアリー。
もしかしたらルーシーも・・?
そこまでは確認できなかったらしいにゃ♪
アレクサンダーは召使いや家族のことを信頼しているようです。
しかし、家族にだけ打ち明けたその晩、夜中の2時ごろ。
物音がするので化粧室へ行ってみると、はだしのまま宝冠を持っているアーサーが立っていました。
宝冠を見ると、緑柱石が3つ台座ごともぎ取られています。
さらに、それをアーサーがねじ曲げようとしていたように見えたアレクサンダーは、息子をひどく罵ります。
この状況なら息子が盗ったように見えるねぇ
次いで起きてきた姪のメアリーは、宝冠とアーサーの顔を見ると失神してしまいます。
あまりにもひどく罵られたアーサーは、何か言いたいことがあるようですが、意固地になって何も話さなくなりました。
そしてメイドが呼びに行った警察がやってきて、翌朝息子は逮捕。
アレクサンダーが警察の助言に従い、ホームズの元へやってきたというわけです。
感想
今回はネタバレなしと、ちょっとあるかも、の感想を書きます。
【ネタバレなし】そうだ!毎日宝冠をお持ち帰りすれば安心じゃないか!
いやー、アレクサンダーさん。
なんで家に持って帰ってきたの?!
なんで家族に言うの?!
確かに銀行の金庫が襲われる可能性だってある。
心配なのは分かるけど・・・
「宝冠を預かっている」ってことを知っている人間を増やしてどうするのよ。
みんなー、聞いてー!
ここにー、国宝のー、緑柱石のー、宝冠がー、あるからー
盗んでみてねーーーーーーーーーー!てへ!
と言っているようなものです(笑)
【ネタバレちょっとあるかも】フェアな推理小説かな?
ホームズシリーズでは、物語後半になって突然登場したやつが犯人だった!ということがあるのですが、この事件は違います。
依頼人アレクサンダーが自分と家族に関係している人間模様をホームズに伝えます。
そして、しっかりと、その中に犯人がいるのです。
ホームズだけが知りえた調査内容も後で出てきますが、この作品もなんとか読者に与えられた情報だけでも犯人が分かるのではないでしょうか。(物的証拠はありませんが)
ぜひとも、推理しながら楽しんでほしいですね!
【ネタバレあり】緑柱石の宝冠:名言
今回はみっつご紹介します
ネタバレがあるにゃ。見たくない人はジャンプするにゃ♪
ぷ
ぷ
ぷ
身に覚えがあるのなら
まずはこれから。
「いったい息子は何用あってあの場所にいたのでしょう。もし身に覚えのないことなら、何をしていたのか、はっきりいったらよいではありませんか」
「それはそうです。しかし一方からいえば、身に覚えがあるのなら、何とかうまい言い逃れを考えそうなものとも言えますね。それを黙っているというのは、私には二様の意味にとれるのです。
シャーロック・ホームズの叡智/新潮文庫・緑柱石の宝冠・延原謙訳より
なぁ~るほど!(笑)
ここのところ、アレクサンダー・ホールダーとシャーロック・ホームズのやりとりは、とても爽快です。
取り乱し、目に見えるものだけを見ているアレクサンダーと、あらゆる可能性を冷静に分析するホームズ。
とても好きなシーンのひとつですね。
【いつもの超有名なやつ】ありえないことをすべて取り除いてしまえば・・・
はい、ここにも出てきましたね。
名探偵コナンにもよく登場しますが、コナンくんが考えたセリフではありません(笑)
シャーロック・ホームズの超有名なセリフです。
いろいろな作品で登場しています。
ぼくは以前から、ひとつの信条をもっていましてね。まったくありえないことをすべて取り除いてしまえば、残ったものがいかにありそうにないことでも、真実に違いないということです。
シャーロック・ホームズの冒険/緑柱石の宝冠・光文社文庫・日暮雅道訳より
コナンくんは、というか工藤新一ですね、彼はいったいどの和訳でホームズを楽しんでいたのでしょう。
最近のコナンは見ていないのですが、確か英語ベラベラの設定でしたよね。
じゃあ、ドイルの原文かなぁ。
自分で和訳した可能性が高いですね。
いつも比べている3社(新潮・光文・創元)では、光文社文庫がいちばん分かりやすかったです。
新潮文庫や創元社文庫だと、この有名なセリフだということに気付きにくいかもしれません。
ちなみに、おまけで河出文庫を紹介します。
ありえないことを取り除くと、残ったものがどんなにありそうもないことでも、それが真実であるというのが、私の昔からの信条です。
シャーロック・ホームズの冒険/緑柱石の宝冠・河出文庫・小林司/東山あかね訳より
とてもシンプルで読みやすい和訳です。
河出文庫
超有名なシャーロッキアンのお二人が訳をしている本です。
興味のある方はチェックしてみてくださいね!
※ただし、他の文庫本より注釈多め・挿絵満載でかなり分厚いです。
※また、2023年に新装版でめちゃくちゃ高いバージョンのシリーズもあるので、要注意です!
【完全なるネタバレ】物語のいちばん最後のセリフです
さきほど河出文庫を出したので、こちらもついでに河出文庫で引用したいと思います。
「これだけは言えると思います」ホームズが答えた。「彼女は、サー・ジョージ・バーンウェルがいるところならどこにでもいます。彼女の罪が何であれ、やがて彼らが充分すぎる罰を受けることもまた確かなことです」
シャーロック・ホームズの冒険/緑柱石の宝冠・河出文庫・小林司/東山あかね訳より
これね、なぜ河出文庫で引用しようと思ったかと言いますと。
ネタバレですからね、いいですね?
「やがて彼らが」とありますね。
彼ら、というのは、サー・ジョージ・バーンウェルとメアリーのことです。
なんと、他の出版社ではこの「彼ら」という文字がないんです。
彼ら、を抜いて読むと、
”彼女の罪が何であれ、やがて充分すぎる罰を受けることもまた確かなことです”
となりますね。
これだとまるで「メアリーだけ」が悪いみたいじゃないですか?
もちろんメアリーがアレクサンダーを裏切ったことは許せない事実です。
しかし、実行犯のバーンウェルも罪を犯したのです。
「彼らも」という和訳がとても丁寧に思えたので、取り上げてみました。
【ネタバレあり】豆知識
前々回大好評だった(かは知りませんが)、またもや豆知識のコーナーです。
さて、今回、登場人物を見て「あれ?」と思った方は、もうホームズ初心者ではありません!
- アーサー
- メアリー
アーサーは分かりますよね、そうです、アーサー・コナン・ドイルですね。
ではメアリーは?
―ワトスンの奥さん?
そうですね、それも正解です。
が、アーサーがドイルなので、ドイル自身に関係する「メアリー」と言えば?
ドイルの母親にゃ
ドイルは母親をとても愛していました。
しかし、その母親は若い愛人と駆け落ちして家を出て行ったというのです。
偶然ではないでしょうね、狙って書いていますよね、ドイルさん?
というと、あの最後の一文もとても意味合いの深い言葉になりそうですね・・・。
緑柱石の宝冠の感想と名言:まとめ
シャーロック・ホームズシリーズ短編「緑柱石の宝冠」について書いてきました。
今回久しぶりに読みましたが、いやー、面白かった(笑)
ホームズって面白いですねぇ。
簡単にまとめますと、
「緑柱石の宝冠」のまとめ
- アーサーとメアリー
- 家族の信頼とは
- ドイルと母親
「緑柱石の宝冠」はこんな人におススメ!
- 単純に見えて複雑な事件が好き
- 物語とは別の裏話が好き
- ホームズの変装を見たい
- いつもの名言が読みたい
こんな感じですか。
いやー、面白かった!
ぜひ読んでいただけると嬉しいです!
「緑柱石の宝冠」が収録されている短編集はこちら↓※緑柱石の宝冠は新潮文庫では「シャーロック・ホームズの叡智」に収録されています※
もうすでに読んだよっていう方は、他の出版社を読んでみてはいかかですか?
3つの出版社を比べてみた【新潮文庫・光文社文庫・創元推理文庫】シャーロック・ホームズシリーズ原作
それぞれ個性があって、とても面白いですよ!