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ホームズシリーズ短編集「シャーロック・ホームズの冒険」の10話目「花嫁失踪事件」。
シャーロック・ホームズの冒険の中には「花婿失踪事件」も収録されており、大変ややこしく紛らわしい(笑)
「独身の貴族」と訳されていることもあります。
が、これだとネタバレになっちゃいそうな感じが否めない・・・(笑)
小学校のころからホームズにはまり、40代の今また読み返している管理人が独断と偏見でお送りしております。プロフィールはこちら→最初の挨拶
- この記事で分かること
- 過度なネタバレはせずに、シャーロック・ホームズシリーズの短編小説「花嫁失踪事件」について、基本情報・あらすじ・事件概要・感想・管理人あさもりがチョイスした名言を知ることができます。
「花嫁失踪事件」はこんな人におススメ!
- レストレード好き
- ワトスンが結婚する前の事件が読みたい
- ホームズのあざやかな解決を見たい
- ホームズとワトスンが新聞見ながらあーでもないこーでもないって言ってるのが読みたい
それではどうぞ!
「花嫁失踪事件」が収録されている短編集はこちら!↓↓
「花嫁失踪事件」基本情報
原題 | The Adventure of the Noble Bachelor |
収録本 | シャーロック・ホームズの冒険(短編集)10話目 |
発表順 | 11番目/60作品中(1892年4月) |
一口メモ | 花婿失踪事件じゃないよ、花嫁失踪事件だよ |
登場人物
登場人物を紹介するよ!
- シャーロック・ホームズ
- ジョン・H・ワトスン
- ロバート・ウォルシンガム・ド・ヴェール・セントサイモン(依頼人)
- ハティ・ドーラン(失踪した花嫁)
- アリス(ハティの女中)
- フローラ・ミラー(セントサイモン卿と数年間交際していた)
- レストレード警部
あらすじ
ホームズが午後の散歩から帰宅したところ、貴族であるロバート・セントサイモン卿からの手紙に気付く。
セントサイモン卿は、結婚に関して相談するために訪問したいとのこと。
ワトスンと共に最近の新聞に目を通すと、なんと、花嫁であるハティ・ドーラン嬢が結婚披露宴のさなか失踪したというのだ!
セントサイモン卿から話を聞くと、式の後まではとても幸せそうだったハティが、控室に戻る途中から様子がおかしくなったらしい。
近くの池からは花嫁衣装一式が発見され、ポケットからは「F・H・M」と署名されている手紙が見つかった――
ハティはいったいどこへ行ったのか?
「F・H・M」とはいったい誰なのか?
花嫁自身が乗り気の結婚だったにもかかわらず、突然の失踪。
果たしてその真実とは――?
事件の概要
事件の概要をまとめるよ
- 結婚式の前日のハティ
- とても元気で幸せだった。
- 結婚式のあとのハティ
- 結婚式後、控室へ戻るとき。ここまでは幸せそうだった。
ハティが花束を落としてそれを席にいた紳士が拾ってくれた。
そのあとからハティは不機嫌になった。 - 式のあと、ランカスター・ゲートの屋敷へ帰ってからのハティ
- 女中(アリス)と話していた。
その後宴会場へと出て行った。
席について10分ほどたったころ、ハティは急に立ち上がって席を外した。
部屋へ戻り花嫁衣裳の上から長外套を羽織って、帽子をかぶって出かけたという(アリス談)。
結婚式自体は問題なく終わったみたいね
そうだね。前日も元気だったようだし
でも、ハティが自分から出て行ったのは明白だね
そんな急に気持ちが変わるなんてことある?
【ネタバレあり】感想
この物語は人は死にませんが、いろいろな感情が生まれては死んでいったと考えることもできます。
どうすればよかったのか、当事者にとっては心のしこりとなり残ることでしょう。
さて、ネタバレがありますよ!
嫌な方はどうぞジャンプしていってください~
ネタバレ
するよー!
【ネタバレあり】2時間弱で
なんと、この事件。
依頼人からの手紙を受け取ってから2時間弱で、ホームズは「解決している」と言ったんです。
そこから調査に出るのですが、これはもう証拠集めですね。
新聞記事と依頼人セントサイモン卿の話を聞いただけで真相にたどり着いています。
早!
いやー、しびれますね(笑)
【ネタバレなし】ワトスンの結婚の日付について
依頼人が訪れた日付は書かれていませんが、おそらく10月4日に近い日だと思われます。
西暦は、セントサイモン卿が1846年生まれで今年41歳、というセリフがあるので1887年と推測します。
しかし、ここで問題発生です。
「ワトスンの結婚した年って、いったい何年?」
シャーロック・ホームズシリーズは出版順=時系列ではありません。
過去の事件を何年もたってから書いていていたりするわけです。
この時系列順を調査した方で有名なのが「ベアリング=グールド」。
それによれば四つの署名は「1888年」となっています。
※四つの署名とは、ワトスンが結婚するきっかけとなった事件です。
まだ読んでいない方はチェック!→【四つの署名】あらすじと感想と名言【シャーロック・ホームズシリーズ長編第2弾】コナン・ドイル原作
花嫁失踪事件に戻りますと、
「ワトスンが結婚する2・3週間前」と書いてあります。
セントサイモン卿が1846年生まれで今年41歳、というセリフがあるので1887年と推測。
四つの署名には西暦が記載されていません。
ベアリング=グールドによれば、四つの署名は1888年とのこと。
1887年の秋ごろに結婚2・3週間前で、1888年に結婚したってこと??
結婚式延期したのかな(笑)
この時系列については、長年シャーロッキアンの方々が調べていらっしゃいます。
私の見解では、時系列は完璧には再現できないと思っています。
探偵と言えば守秘義務が絶対。
わざと日付を間違えたり、ずらしたり、そういうことがあってもおかしくありません。
どの事件のどの日付を正しい日付とするのか?
それによって、たくさんの可能性が出てきてしまうのです。
ワトスンが実は何度か結婚していた、と考える人もいます。
みんなの心の中に時系列は存在している・・・!
別にカッコイイこと言ってないにゃ♪
時系列を考えることが好きな人は調べてみると楽しいにゃ♪
そう・・あなたの、あなたによる、あなただけの時系列・・・
【ネタバレあり】花嫁失踪事件:名言
今回はひとつご紹介します
ひとつだけヒントをあげるよ、レストレードくん
いやもうこれかっこよすぎてて鼻血出るから持ってる出版社全部引用する(笑)
新潮文庫より引用
まずは新潮文庫から。
一つだけヒントをあげますがね、レストレード君。真相を言いましょう。セントサイモン夫人は架空の人物ですよ。過去現在とも、そんな人物はどこにもいやしません」
シャーロック・ホームズの冒険/花嫁失踪事件・新潮文庫・延原謙訳より
あー、もう、好き(笑)
いやしません。
ね。
こんなに答えを言ってるのに、レストレードったら!
光文社文庫より引用
お次は光文社文庫。
「ひとつだけヒントをあげよう、レストレード君」ホームズは、姿を消す前のライバルにゆっくりと声をかけた。「実は、セント・サイモン卿夫人というのは架空の人物なんです。そんな人物は過去にも現在にもいやしない」
シャーロック・ホームズの冒険/独身の貴族・光文社文庫・日暮雅道訳より
丁寧。光文社は本当に丁寧。
そしてシンプル。
シンプルイズベスト。
創元推理文庫より引用
続きましては創元推理文庫。
「レストレード、ひとつヒントをあげよう。これから話すことが、この事件のほんとうの答えだ。レディー・セント・サイモンというのは、完全に架空の存在さ。そういう人物はいないし、いたこともない」
シャーロック・ホームズの冒険/独身の貴族・創元推理文庫・深町眞理子訳より
舞台寄りですね、創元推理は。
これ3つの出版社を比べてみた、に追加しようかな。
河出文庫より引用
調子に乗って河出文庫。
「レストレイド、一つだけヒントをあげておきましょう」競争相手の帰りがけに、ホームズはゆったりとした口ぶりで言った。「この事件の真相を教えましょう。セント・サイモン卿夫人というのは架空の人です。そういう人間は存在していないし、存在したこともないのです」
シャーロック・ホームズの冒険/花嫁失踪事件・河出文庫・小林司/東山あかね訳より
スマート。実にスマート。
あとさ、小林司さんと東山あかねさんの訳って、やさしいよね。
おまけの講談社より引用
さらに調子に乗って、講談社。(ちょっと特殊な本です)
「レストレード、ひとつだけヒントをあげよう」ホームズは、競争相手が姿を消す前に、ものうげな口調でいった。「この事件のほんとうの解答をおしえてあげるよ。セント・サイモン卿夫人というのは架空の人物なのさ。そんな人物は存在しないし、存在したこともない」
シャーロック・ホームズ大全/誇り高き独身者・鮎川信夫訳より
鮎川氏・・・最高かよ・・・
花嫁失踪事件の感想と名言:まとめ
シャーロック・ホームズシリーズ短編「花嫁失踪事件」について書いてきました。
もう読んでいる方もまだ読んでいない方も楽しめていただけると嬉しいです!
簡単にまとめますと、
「花嫁失踪事件」のまとめ
- さすがホームズ!
- 花婿失踪事件が読みたくなった(笑)
「花嫁失踪事件」はこんな人におススメ!
- レストレード好き
- ワトスンが結婚する前の事件が読みたい
- ホームズのあざやかな解決を見たい
- ホームズとワトスンが新聞見ながらあーでもないこーでもないって言ってるのが読みたい
こんな感じですか。
やはりちょっと花婿失踪事件とかぶっちゃって、あまりパッとしない事件になっちゃいましたかね。
よろしければ読んでいただけると嬉しいです!
「花嫁失踪事件」が収録されている短編集はこちら↓
もうすでに読んだよっていう方は、他の出版社を読んでみてはいかかですか?
3つの出版社を比べてみた【新潮文庫・光文社文庫・創元推理文庫】シャーロック・ホームズシリーズ原作
それぞれ個性があって、とても面白いですよ!