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短編集、シャーロック・ホームズの冒険、3作目。
「花婿の正体」と訳されている場合があります。
新潮文庫では「花婿失踪事件」となっていますね。
そして、同シャーロック・ホームズの冒険には「花嫁失踪事件」という別の短編が収録されています。
紛らわしい(笑)
【今回は結構ネタバレがあります】シャーロック・ホームズシリーズの短編小説「花婿失踪事件」について、基本情報・あらずじ・感想・管理人あさもりがチョイスした名言を知ることができます。
また、読者側に与えられた情報だけで真相にたどり着きやすい作品なので、ホームズとワトスンと一緒に謎を解いてみてはいかがでしょうか!
小学校のころからホームズにはまり、40代の今また読み返している管理人が独断と偏見でお送りしております。プロフィールはこちら→最初の挨拶
それではどうぞ!
「花婿失踪事件」基本情報
原題 | A Case Of Identity |
収録本 | シャーロック・ホームズの冒険(短編集)3話目 |
発表順 | 5番目/60作品中(1891年9月) |
一口メモ | ・短編の中の短編。サラッと読みやすい。 ・実際は「赤毛連盟」よりも前に書かれた作品。なぜか発表は逆順になっている。 |
登場人物
登場人物を紹介するよ!
- シャーロック・ホームズ
- ジョン・H・ワトスン
- メアリー・サザーランド(タイピスト・依頼人)
- ホズマ―・エンゼル(メアリーの婚約者)
- ジェイムズ・ウィンディバンク(メアリーの継父)
あらすじ
依頼人はタイピストのメアリー・サザーランド嬢。
メアリーの継父であるジェイムズ・ウィンディバンクは、彼女が外出するのをとても嫌っていました。
反発したメアリーはウィンディバンクの不在中に舞踏会へ行き、ホズマ―・エンゼルと知り合います。
何度か会ううちに婚約し、またもやウィンディバンクの不在中に結婚式を挙げようとします。
ところが、結婚式当日に教会へ向かう馬車の中からホズマ―は忽然と姿を消したのです!
彼を探し出してほしいというメアリーの依頼に、「もう二度と会えないので忘れなさい」と論するホームズ。
まさに電光石火、安楽椅子探偵ホームズの誕生!
たった2通の手紙で解決に導いた推理とは?
果たしてホズマ―は見つかるのか?
物語に出てくる情報だけで推理可能な数少ない作品。(あさもり調べ)
ホームズと一緒に事件を解こう!
【冒頭のネタバレあり】事件概要
今回の作品は、読者側に与えられた情報でじゅうぶんに真相にたどり着くことができます。(証拠は確認できませんが)
え、そうなの?
メアリーの証言を整理してみよう
- メアリーはタイピストとしての収入と伯父の遺産(公債・2500ポンド)がある
- 伯父の遺産の一部(公債の利子・年100ポンド)は母親とその再婚相手に自由にさせている
へー
テンション低っ
利子なんてお小遣い程度でしょ
ホームズの時代の「100ポンド」は現代では「約240万円」にゃ♪
ええええええ!
それを母親とその再婚相手にあげてんの?
重要な証言だね
- 実父は亡くなっており、母親の再婚相手はジェイムズ・ウィンディバンク
- メアリーとウィンディバンクは5歳と2か月しか年齢が変わらない
- ウィンディバンクは母親とメアリーが外出するのを嫌う。家に客も入れたくない
- ウィンディバンクがフランスへ行っている間に舞踏会に出かけ、ホズマ―・エンゼルと出会う
娘と歳が近すぎじゃない?
働いている女性に外出禁止とか、ありえない
ウィンディバンク、ちょっとクセのある人物のようです
- ホズマ―は引っ込み思案でおとなしく、目立つのがイヤで夜しか会えない
- ホズマ―は喉が弱く低い声で話し、目が弱いので色めがねをしている
ホズマ―も変な奴だな
この狭い人間関係の中に変な人物がふたり・・
もう察しはつくにゃ♪
証拠はないけどね
え、なになに、どういうこと?
- ウィンディバンクが不在中に婚約
- 結婚しようと教会へ行く途中で、ホズマ―が行方不明となる
ここまでは、冒頭のメアリーの証言からすべて分かる情報です。
なんとなく推測はできますね。
【ネタバレあり】所感
さて、トリックに関する話をしたいので、思いっきりネタバレをしますよ。
ネタバレ行きますよ?
ここまでの情報で「絶対に自分で真相にたどり着いてやる!」という方は、ここで画面を閉じましょう!
それか、そうだな、花婿失踪事件の感想と名言:まとめまで飛びますか?
飛びたい方→花婿失踪事件の感想と名言:まとめへジャンプ!
ネタバレオッケーな方→このまま下へスクローーーール
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【盛大なネタバレ】花婿失踪事件のトリックについて
今回の事件のトリックは「一人二役」。
一人が二人の役を果たすことです。
現代では「ノックスの十戒(じっかい)」を代表とする、推理小説を書くときのルールが存在します。
ノックスの十戒には「双子や一人二役はあらかじめ読者に知らせておかなければならない」という一文があるんです。
じゃあこれもダメじゃん!
1928年に出来たルールにゃ♪
1891年に書かれた小説に適応は無理にゃ♪
ウィンディバンクとホズマ―が同一人物だったんだね
100ポンドが約240万円だと分かったから推測できたよ・・
ホームズ時代の単位を知っておくと便利にゃ♪
この本を参考にしているよ!
花婿失踪事件:名言
今回はあさもりが選ぶ名言をふたつ、ご紹介します
とるに足らぬ事件の中にこそ
とるに足らぬ事件のなかにこそ、つねに観察の場があり、原因と結果とを敏速に分析する活きた舞台があり、そこにこそこの仕事のもつ魅力があるのだと思う。大きい犯罪というのもは、とかく簡単でありがちだ。というのは、犯罪が大きければ大きいだけ、がいして動機が明瞭なものだからね。
シャーロック・ホームズの冒険・花婿失踪事件・新潮文庫・延原謙訳より
大きい事件の方が動機が単純ではっきりしている。
小さい何気ない事件の方が複雑だ、ということですね。
事実は小説より奇なり
まさにその通りだと思います。
僕はよっぽどどうかしているよ
たとえば、あの女なんか、僕のところへくる依頼者でなかったら、僕はよっぽどどうかしているよ
シャーロック・ホームズの冒険「花婿失踪事件」より・新潮文庫・延原謙訳
こういう言い回しがイキなんだよな~。
好きなんだよなぁ~。
新潮文庫の延原謙氏ホームズは依頼人の前では紳士でいながら、ワトスンの前ではかなり砕けた話し方をします。
この人物像がそのままグラナダ版のジェレミー・ブレッドホームズのイメージなんですよ。(あさもり調べ)
本当におススメです、グラナダ版。
花婿失踪事件の感想と名言:まとめ
シャーロック・ホームズシリーズ短編集「シャーロック・ホームズの冒険」収録の3作目、「花婿失踪事件」について書いてきました。
もう読んでいる方もまだ読んでいない方も楽しめていただけると嬉しいです!
簡単にまとめますと、
- 「花嫁失踪事件」と間違えやすい
- 短編の中の短編で、サクッとサラッと読みやすい
- ホームズシリーズではめずらしく、読者が自力で真相にたどり着きやすい
- みんなで謎解きしよう!
こんな感じですか。
相変わらずざっくりすぎですね(笑)
もうすでに読んだよっていう方は、他の出版社はいかがでしょうか?
それぞれ個性があって、とても面白いですよ!