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短編集、シャーロック・ホームズの冒険の2作目。
赤髪組合、赤毛組合、赤毛連盟、赤毛クラブ・・・などで翻訳されている作品です。
赤い髪の毛の団体っぽい単語が出てきたら、これだと思ってください(笑)
私は「赤毛連盟」と覚えていました
赤毛組合ではミステリの世界で「赤毛トリック」と呼ばれる超絶有名なトリックが使われています。
その名の通り、赤毛組合が名前の由来です。
のちのミステリ界に影響を与えたトリックや設定が数多く出てくるのも、シャーロック・ホームズシリーズの見どころであります。
また、この赤毛組合では、依頼人が持ってきた新聞の日付と事件当日の日付のつじつまが合いません。
ワトスンが書いたメモが間違えていた、コナン・ドイルの原稿を間違えて読み発行してしまった、など様々な説がありますが真相はいったいなんでしょうかね(笑)
とりあえず、新聞の日付は8月くらいだと思って読むといいにゃ♪
過度なネタバレはせずに、シャーロック・ホームズシリーズの短編小説「赤髪組合」について、あらずじ・感想・管理人あさもりがチョイスした名言を知ることができます。
小学校のころからホームズにはまり、40代の今また読み返している管理人が独断と偏見でお送りしております。プロフィールはこちら→最初の挨拶
それではどうぞ!
「赤髪組合」基本情報
原題 | The Red-Headed League |
収録本 | シャーロック・ホームズの冒険(短編集)2話目 |
発表順 | 4番目/60作品中(1891年8月) |
注意事項 | 日付は気にせず、純粋に物語を楽しもう! |
登場人物
登場人物を紹介するよ!
- シャーロック・ホームズ
- ジョン・H・ワトスン
- ジェイベズ・ウィルスン(質屋の店主・依頼人)
- ヴィンセント・スポールディング(ウィルスンの質屋の店員)
- ダンカン・ロス(赤毛組合の会員)
- ピーター・ジョーンズ(警視庁・四つの署名に出てくるアセルニー・ジョーンズ警部と同一人物の可能性あり)
- メリーウェザー(シティ・エンド・サバーバン銀行の頭取)
あらすじ
依頼人は、燃えるように赤い髪をしたジェイベズ・ウィルスン。
ウィルスンは質屋の店主で、店の経営は思わしくなく、食べていくのがやっとの状態だと言います。
店員はひとりしか雇う余裕がないので「半分の給料でいい」と言ったヴィンセント・スポールディングを雇うことに。
8週間前のこと。赤毛組合という団体に欠員が出たため、組員を募集しているという広告が出ました。
仕事は簡単なことなのに、1年で200ポンド(当時の換算で約480万円!)の俸給がでるといいます。
ウィルスンはスポールディングのすすめで赤毛組合の欠員募集に申し込み、見事合格!
仕事の内容と注意事項は以下の通り
・1日4時間の勤務時間
・赤毛組合の事務所で大映百科事典を筆写する
・勤務時間中はいかなることがあろうとも事務所を出てはいけない
ウィルスンは指示通りに仕事を始めて報酬を手に入れます。
ところが、いつものように今日も事務所へ行くと、
「赤毛組合は解散した
1890年10月9日」
という張り紙が――!
これはいったいどういうことなのか?
ウィルスンはなぜこんな経験をしたのか?
単なるいたずらにしては報酬が高すぎる!
そもそも赤毛組合とはなんなのか?
ミステリ界で有名な「赤毛トリック」の元となった人気作品!
【多少のネタバレあり】所感
赤毛組合はとても人気がある作品。
日付の矛盾点がもったいない!
でも、それを差し引いても素晴らしい物語です。
ホームズシリーズは短編がとても読みやすく、おもしろい作品が多いです。
でも最初の一冊は「緋色の研究」をおススメしますが(笑)→最初に読むのは「緋色の研究」がおすすめ!【シャーロック・ホームズシリーズ原作】
殺人事件は起きないし、不倫の話でもないし、なにより「赤い髪の毛を持つ成人男性だけが入れる」という奇想天外な発想が面白いですよね(笑)
そういう面でも子供も楽しめる作品となっています。
序盤の感想
赤毛組合の募集内容や仕事に対する決まりごとがいかにも怪しさ満点ですね(笑)
いたずらのようにも見えますが、ウィルスンはすでに全部で32ポンド(当時の換算で76万8千円!)の報酬を手にしており、とてもいたずらで済む話ではなさそう。
いったいどういうことなんだろうか、続きが気になる冒頭です!
中盤の感想
依頼人が帰ったあと、タバコを三服するあいだ(50分間)は話しかけないでくれ、とワトスンに言います。
ここで有名な挿絵が登場します。
ホームズがパイプをくわえ、椅子の上にひざを抱えて座っている挿絵。
この挿絵が載っているのは私が持っている中だと「光文社文庫」と「河出書房新社」ですね。
河出書房新社は原作に載っているすべての挿絵を掲載しているので、挿絵が見たい方はおススメ。
グラナダ版シャーロック・ホームズの冒険では、ジェレミー・ブレッドがこの座り方を再現しています。
一言で言えば最高で、控えめに言っても最高!
その後ウィルスンの質屋へ偵察へ行ったり、その周辺を観察したり、サラサーテというヴァイオリニストの演奏を聴きに行く。
サラサーテは実在の人物にゃ♪
優雅に演奏会に出向いているので、あまり緊迫感がないように思いますよね。
しかし、会場を出たあとワトスンに「今夜手助けしてほしいんだ。拳銃も持ってきてほしい」と言い放ちます(笑)
いったいなにが起きようとしているのでしょうか!?
感想まとめ
同じ場所へ行き、同じものを見て、同じ話を聞いているのに、ホームズは真相が分かっている。
こういうところがしびれるんですよね。
【ネタバレありまくり】あさもり的いっちばん好きなシーン
これはちょっと完全ネタバレになります。
ホームズがいかにして事件の真相を見抜いたのか、語られるシーンです。
ネタバレしたくないけど、ああ、これは外せないんですよね、大好きなのよ、このシーンが!
嫌な方はこちらから次の名言コーナーまでジャンプしましょう→赤毛連盟:名言へジャンプ!
ネタバレが始まるよ!始まるよったら始まるよ!ネタバレを書いていくよ、これからネタバレ書いてくよ!
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はい、書きますよ、ネタバレ、書きますよ
これです!
「赤髪組合の事務所を閉鎖したということは、彼らにとってジェイベズ・ウィルスンが家にいても、もう邪魔にはならなくなったのを意味する。
言葉を変えていえば、トンネルが完成したのだ。」
シャーロック・ホームズの冒険より・赤髪組合・新潮文庫・延原謙訳
なんというシビれるセリフ!
ああカッコイイ、カッコいい、めちゃくちゃかっこいい
探偵の謎解きの醍醐味だにゃ♪
赤毛連盟:名言
超有名な名言と、私あさもりが選ぶマイナー部門をお送りします。
パイプでたっぷり三服といったところだね
これが名言?とお思いでしょうが、超有名なんですよ、この言葉。
せっかくなので、ここからは河出書房新社さんも追加して4社で比較してみましょう!
まずは新潮文庫の延原謙さんの訳から。
「タバコさ。パイプでたっぷり三服というところだね、この問題は。すまないが五十分間だけ、話しかけないでいてくれないか」
シャーロック・ホームズの冒険・赤髪組合・新潮文庫・延原謙訳
次は光文社文庫の日暮雅道さん訳。
「煙草さ。パイプでたっぷり三服ほどの問題だな。悪いが五十分ほど話しかけないでくれたまえ」
シャーロック・ホームズの冒険・赤毛組合・光文社文庫・日暮雅道訳
そして創元推理文庫の深町眞理子さん訳。
「まずは煙草さ」ホームズは答えた。「これはたっぷりパイプ三服分はかかる問題だからね。だからきみ、すまないがあと五十分ほどは話しかけないでいてくれないか」
シャーロック・ホームズの冒険・赤毛組合・創元推理文庫・深町眞理子訳
最後に河出書房新社の小林司さんと東山あかねさん訳
「タバコさ」と、彼は答えた。「パイプに三杯ほどのタバコが必要な問題だよ。すまないが、五十分ばかり話しかけないでくれたまえ」
シャーロック・ホームズの冒険・赤毛組合・河出書房新社・小林司/東山あかね訳
どれがお好みでしょうか?
河出書房の訳が少し分かりやすい描写になっているのかな、と感じます。
パイプにタバコの葉を詰めて吸いきる、を三回やる、という描写です。
一般的にパイプは1杯の葉で1時間くらいは吸えるようです。
3杯で50分はかなり早くない?
そうだね
私のイメージは部屋を煙だらけにするくらいスパスパ吸ってるイメージ
推理に夢中で、パイプには集中してないから
バカスカ吸っちゃうんじゃないかにゃ♪
一番わからなくて困るのは、何の特徴もない犯罪なのだ
次はあさもりが選ぶマイナーな名言をご紹介します。
今回は入手したばかりの河出書房新社から引用します。
「ふつうは、事件が奇妙であればあるほど、かえって本質は、わかりやすくなるものなのだよ」ホームズは言った。
「一番わからなくて困るのは、何の特徴もない犯罪なのだ。それはちょうど、ありふれた顔を覚えにくいのと同じことさ。」
シャーロック・ホームズの冒険・赤毛組合・河出書房新社・小林司/東山あかね訳
分かりやすい、すごく分かりやすいですね。
赤毛組合の感想と名言:まとめ
シャーロック・ホームズシリーズ短編集「シャーロック・ホームズの冒険」収録の2作目、「赤毛組合」について書いてきました。
「赤毛の成人男性だけ」という奇想天外な発想が、いったいどんな結末になるのか非常にワクワクする作品です。
もう読んでいる方もまだ読んでいない方も楽しめていただけると嬉しいです!
簡単にまとめますと、
- 赤毛組合の物語は、日付をあまり気にしないで読むこと
- ミステリ用語で有名な「赤毛トリック」の元ネタの作品
- ホームズの推理が最高にクールでしびれる
- グラナダ版のジェレミー・ブレッドの再現率が素晴らしい
こんな感じですか。
コナン・ドイルは、発想も実にユニークで奇抜だったんだなと改めて感じました。
ぜひ読んでいただけると嬉しいです!
もうすでに読んだよっていう方は、他の出版社を読んでみてはいかかですか?
3つの出版社を比べてみた【新潮文庫・光文社文庫・創元推理文庫】シャーロック・ホームズシリーズ原作
それぞれ個性があって、とても面白いですよ!
グラナダ版、最高なんですよ。
ジェレミー・ブレッドふんするホームズが、椅子に足をあげて座ってパイプをふかし、そのあとすごい勢いで立ち上がる、という一連の行動を見てほしいです。
また、原作と違って犯罪界のナポレオン「モリアーティ教授」が登場します。
物語がより深みを増していますので、ぜひご覧あれ!