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コナン・ドイルが描くシャーロック・ホームズリーズ長編第二弾。
四人の署名、四つのサイン、と訳されていることも。
それまでのドイル作品(ホームズを含む作品すべて)は単発だけでした。
「四つの署名」が発表されたことでホームズ物の「続編」となり初のシリーズ作品となったわけです。
この作品で設定や登場人物もしっかりと基盤が作られた印象を受けますね。
ベーカー街221Bの女主人も「ハドスン」と名前がついたよ!
ワトスンの家族の話も出るにゃ♪
過度なネタバレはせずに、シャーロック・ホームズシリーズの長編「四つの署名」について、あらずじ・感想・管理人あさもりがチョイスした名言を知ることができます。
小学校のころからホームズにはまり、40代の今また読み返している管理人あさもりが独断と偏見でお送りしております。プロフィールはこちら→最初の挨拶
それではどうぞ!
「四つの署名」基本情報
原題 | The Sign of Four |
時系列順 | 19番目※/60作品中(※1887?年9月18日~21日) |
発表順 | 2番目/60作品中(1890年2月) |
※追記2023/10/11 ボヘミアの醜聞を読んでいると、この時系列に矛盾が発生しました。
※さらに追記2024/1/22 花嫁失踪事件を読んでいると、やはり矛盾が。1887年だと思われるので訂正しました。
※この時系列は書き換える可能性があります。
自分でも調べてみたいと思います。
登場人物
登場人物を紹介するよ!
登場人物は、創元推理文庫の最初のページに載ってるものを参考にしています
- シャーロック・ホームズ
- ジョン・H・ワトスン
- ハドスン夫人
- メアリー・モースタン(依頼人)
- アーサー・モースタン大尉(メアリーの父親)
- ジョン・ショルトー少佐(モースタン大尉の友人)
- サディアス・ショルトー(ショルトー少佐の息子・弟)
- バーソロミュー・ショルトー(ショルトー少佐の息子・兄)
・ジョナサン・スモール
・マホメット・シン
・アブズラ・カーン
・ドスト・アクバル
(四つの署名者)- ウィリアムズ(サディアス家の門番・プロボクサー)
- マクマード(バーソロミュー家の門番・プロボクサー)
- バーンストン夫人(バーソロミュー家の家政婦)
- アセルニー・ジョーンズ警部
- セシル・フォレスター夫人(メアリーの雇い主)
- シャーマン老人(トビイの飼い主)
- トビイ(犬)
- ベーカー街特務隊
- ウィギンズ(ベーカー街特務隊の隊長)
- モーディカイ・スミス(貸し船屋の亭主)
あらすじ
依頼人は、メアリ・モースタン婦人。
彼女の父親が10年前に突然消息を経った。
6年前から毎年決まった日に、とても高価な真珠が一粒ずつ送られてくるようになったといいます。
なぜ高価な真珠が送られてくるようになったのか。
父親はどこへ行ってしまったのか。
今朝、真珠の送り主から届いた手紙には待ち合わせの場所が記されており、メアリは急ぎベーカー街へ訪れたのです。
メアリはホームズとワトスンと共に、真珠の送り主であるサディアス・ショルトーの家へ向かいます。
サディアスと合流し、彼の兄、バーソロミューの家へ。
そこで発見されたのは、恐ろしい形相の死体。
そばには「四つの署名」と書かれたメモが――!
テムズ河で繰り広げられる、息をのむ追跡劇。
四つの署名とは何なのか?
メアリの父親はどうなったのか?
ホームズの女性観とワトスンの恋の行方は?
ワトスンが大活躍するシリーズ長編第2作目!
河出書房新社から順次発売されている改装版新装!
連載当時の挿絵が全て載っているのは河出書房だけです。
挿絵が気になる&詳しい解説が欲しい方は必見です。
「四つのサイン」と訳されていますよ。
【多少のネタバレあり】所感
―Eliminate all other factors, and the one which remains must be the truth.
コナン・ドイル The Sign of Fourより
超有名な「すべてのあり得んことをどかしていきよったら、あとにのこったとがどげん信じられんことやったとしても、それが真実ったい」という名言が形を変えて二度出てくる一冊です。(福岡弁失礼いたしました笑)
昔の映画やパロディなどでワトスンはとても間抜けというか、ホームズの推理に驚いているだけの人物として書かれることが多かったが、そんなことはありません。
原作のワトスンは一人で行動もするし、頼まれた仕事をそつなくこなします。
もちろん時には的外れなこともあるけど、決して間抜けではなく、ごくごく普通の英国紳士なのです。
そんなワトスンが大活躍するのが本作。
また、ホームズの巧みな話術や変装も見どころ。
エネルギッシュに動く陽の姿と、時代もありますが悪癖に身をゆだねている陰の部分がはっきりと分かれて描かれていて、ホームズの人となりをより知ることができます。
非常にテンポよく物語が進んで行き、長編なのですが短編を読んでいるかのように読みやすいです。
物語の構成
前作の「緋色の研究」のように一部、二部という風には分かれていません。
犯人の独白があるのは同じですね。
シャーロック・ホームズシリーズは、我々読者も一緒になって推理する物語ではなく、ホームズの推理やワトスンとの対話を楽しむエンターテインメントだと考えています。
犯人をトビイという犬と一緒に追跡したり、テムズ河での白熱した攻防戦を繰り広げたり、冒険物語でもあるんですよね。
ワクワクドキドキハラハラしながらお楽しみください!
序盤の感想
「観察」と「推理」の区別に対するホームズの説明がとても分かりやすい。
ワトスンが最近手に入れた懐中時計をわたし、元の持ち主がどんな人物だったのかを当ててみて、と難問を吹っ掛けます。
そこでワトスンの家族の話が出てきて怒りをあらわにするワトスン。
懐中時計の問題に集中しすぎて、ワトスンの気持ちまで考えられなかった、と謝るホームズ。
シャーロック・ホームズって、気難しくてインテリでプライド高そうでツンツンしているってイメージありませんか??
全然そんなことないんですよ。
ものすごく血が通ってて、子供みたいに悔しがったり目に見えていじけたりするんです。
そんなこんなで依頼人、メアリ・モースタン婦人が登場。
この序盤の話からの、ホームズとワトスンの会話のテンポの良さ、スムーズな依頼人登場、それから特に紹介もなく何事もなかったかのように「ハドソン夫人」と名付けられた女主人が登場し、物語は流れるように進んで行きます。
読みやすいんですよね、ホームズ物は。
ドイルの他の作品を読んだことがあるけど、
最後まで読めなかったな・・・
好きな作者と好きな作品は違くて当然にゃ♪
中盤の感想
ホームズとワトスン、そしてメアリとで宝石の送り主であるサディアス・ショルトーの元へ向かうんですけどね、
半ば強引に馬車で連れて行かれるんですけど、通っている道をホームズは分かっていて、「~通り」とどこに連れていかれるのか把握している!!
かっこえぇ!!
その後、サディアス・ショルトーの兄であるバーソロミューの家へ向かいます。
奇怪な微笑を浮かべた死体の発見。
なくなった財宝。
残された用紙の切れ端には「四つの署名」の文字が――!
ドキドキが止まらない展開が続きます。
ホームズの聞き込み話術が最高にしびれるぅぅぅ
ホームズの変装が最高に最高ぅぅぅ
言いたい、この先も言いたい!!
でもネタバレはしない!
ぜひ原作を読んでみてくださいね!!
感想まとめ
流れるように進んで行く物語の中に、ロマンスと殺人と財宝と、鬼気迫る追跡劇が繰り広げられる飽きない作品。
すべての登場人物が魅力的で印象に残ります。
グラナダ版シャーロックホームズの冒険でのバーソロミュー・ショルトーの死に顔ときたら!
忘れようにも忘れられないインパクトでした。
気になる方はぜひご覧ください!!
このブルーレイの商品は中古品が高額で出回っていたりしますので、しっかりとレビューや商品情報を確認してくださいね。
私が持っているのはこちらのDVDです。全6巻で、バラバラで購入しました。
充分こちらで楽しめますよ♪
あさもり的いっちばん好きなシーン
私のいちばん好きなシーンはこちらです。
新潮文庫でいうと96ページから、スミスのおかみさんとホームズのやり取り。
スミスのおかみさんが警戒することなく「オーロラ汽艇」の姿形を聞き出してしまうシーンですね。
おかみさんは重要人物である「木の義足の男」の情報もホームズに導かれるように話してしまいます。
この話術が好きなんですよね~
ホームズの女性観
四つの署名ではワトスンの恋物語要素も含まれています。
そしてそこには「ホームズの女性観」も語られるわけです。
婚約をした幸せ絶頂のワトスンに対して、おめでとうとは言わないよ、と悲しむホームズ。
一生結婚しないとも言っていますね。
感情的になるからとかなんとか言っていますが、本当のところはどうなんでしょうかね(笑)
どうしてもあの推理小説を思い出してしまう
ネタバレが嫌いな人のために見出しには小説名を書きませんでした。
四つの署名を読むと決まってこの小説を思い出すんです。
ずばり「モルグ街の殺人事件」です!
・・・同じじゃない?
なにが・・?
四つの署名:名言
超有名な名言と、私あさもりが選ぶマイナー部門をお送りします。
超超超超有名なあの名言!
みなさん、名探偵コナンくんご存じですか?
名探偵コナンに結構出てきますよね、このセリフ。
この「四つの署名」に登場するセリフなんですよ!
p12:「すべてのありえないことをとり捨ててゆけば、あとに残ったのが必ず真相でなければならない。」
p64:「すべての条件のうちから、不可能なものだけ切りすててゆけば、あとに残ったものが、たとえどんなに信じがたくても、事実でなくちゃならないと、あれほどたびたびいってあるじゃないか。」
新潮文庫・「四つの署名」延原謙訳より
それも2度も出てきます。
2度目に至っては「いつも言ってるだろう」と言ってるあたり、常々使っている言葉だということがわかります。
観察と推理の区別について
ホームズの頭の中が少しだけ理解できた文言。
観察は僕に、君がけさウィグモア街郵便局へ行ったことを知らせてくれるが、そこで君が電報を一本打ったことを教えてくれるのは推理のほうだ。
新潮文庫・p11・延原謙訳より
分かりやすい!!
とても分かりやすいです。
分かりやすくないですか??!
頭の中の霧が、すーーーーっと晴れていくようでした。
題名の感想と名言:まとめ
シャーロック・ホームズシリーズ第二弾、長編「四つの署名」について書いてきました。
みなさまいかがでしたか?
もう読んでいる方もまだ読んでいない方も楽しめていただけると嬉しいです!
簡単にまとめますと、
- ワトスン大活躍
- ワトスンの恋愛物語
- ホームズの女性観
- 超絶有名な名言あり
- ホームズの推理力と観察力を楽しむ
- ホームズとワトスンの会話を楽しむ
こんな感じですか。
ざっくり過ぎですか。
長編の中でも比較的読みやすいと思います。
ぜひ読んでいただけると嬉しいです!
もうすでに読んだよっていう方は、他の出版社を読んでみてはいかかですか??
3つの出版社を比べてみた【新潮文庫・光文社文庫・創元推理文庫】シャーロック・ホームズシリーズ原作
それぞれ個性があって、とても面白いですよ!