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ホームズシリーズ短編集「シャーロック・ホームズの冒険」の5話目「オレンジの種五つ」。
この「オレンジの種五つ」は、題名からは想像できない奇怪な事件です。
冒頭でワトスンが「永久に解明されないであろう謎が残る」としています。
ネタバレになってしまうので詳しくは言えませんが、ホームズとワトスンにとって苦い事件でもあります。
しかしながら、ホームズの人間味あふれる感情が読める作品でもあります。
つまり何が言いたいかというと、おススメ作品というわけです(笑)
小学校のころからホームズにはまり、40代の今また読み返している管理人が独断と偏見でお送りしております。プロフィールはこちら→最初の挨拶
過度なネタバレはせずに、シャーロック・ホームズシリーズの短編小説「オレンジの種五つ」について、基本情報・あらすじ・事件概要・感想・管理人あさもりがチョイスした名言を知ることができます。
- 奇怪な事件が三度の飯より大好きだ
- ホームズの人間味に触れたい
- ワトスンが最初から事件にかかわっている作品が読みたい
封筒にオレンジの種五つを入れたことがある
それではどうぞ!
「オレンジの種五つ」が収録されている短編集はこちら!↓↓
「オレンジの種五つ」基本情報
原題 | The Five Orenge Pips |
収録本 | シャーロック・ホームズの冒険(短編集)5話目 |
発表順 | 7番目/60作品中(1891年11月) |
一口メモ | 永久に解明されないであろう謎が残る事件 |
登場人物
登場人物を紹介するよ!
- シャーロック・ホームズ
- ジョン・H・ワトスン
- ジョン・オープンショー(依頼人)
- イライアス・オープンショー(依頼人の伯父)
- ジョゼフ・オープンショー(依頼人の父)
あらすじ
1887年、9月下旬の嵐の夜。
ホームズとワトスンがくつろいでいると呼び鈴が鳴った。
嵐の中やってきた依頼人はジョン・オープンショウ。
髪も服も綺麗にしていて態度も上品さが表れている、22歳くらいの若い男だ。
そのジョンの伯父と父親が次いで不自然な死を遂げた。
2人とも「オレンジの種が五つ入った封筒」が届いたあと、帰らぬ人となってしまったという。
封筒に書かれていたのは「K・K・K」の文字。
そして昨日の朝、ついにジョンの元にもオレンジの種五つが送られてきた――
オレンジの種はいったい何を示しているのか
K・K・Kとは誰なのか
果たしてジョンの運命は?!
永久に解明されないであろう謎が残る驚くべき結末――
ホームズの人間味あふれる感情に触れられる数少ない作品。
事件の概要
事件の概要をまとめるよ
伯父イライアスの場合
- アメリカでかなりの財産を手に入れ、イギリスへ帰国
- 1883年3月10日、インドからオレンジの種が五つ入った封筒が届く
- ジョンはそれを見て笑い出したが、イライアスは違った
- 「K・K・Kだ!」と叫び「死だ」と言ったっきり自室へと引っ込んでしまった
- イライアスは部屋で何か書類を燃やし、弁護士と遺言状を作成した
- 1883年5月2日の晩、酒乱状態で家を飛び出したイライアスは、小さな池で溺死
- 警察は自殺と結論付けた
- 死を恐れていたイライアスが自ら死を選ぶとは考えにくい。ジョンは過って死んでしまったんだと自分に言い聞かせた
父ジョゼフの場合
- イライアスの死後、イライアスの財産を継いだジョゼフ
- 1885年1月4日の朝、ジョゼフの元にもオレンジの種が五つ届く
- 消印はスコットランド
- 封筒にはK・K・Kの文字、さらには「書類を日時計の上に置け」と書かれていた
- ジョンはイライアスの件をジョゼフに話したが、ジョゼフは強がり、いたずらだと取り合わなかった
- 手紙が届いてから5日後、ジョゼフは知人を訪れた地で事故死
- 他殺を思わせるような痕跡は見つけられなかった
依頼人ジョン青年の場合
- ジョゼフの死後、オープンショウ家を相続
- 2年8か月は平穏に過ぎた
- イライアスとジョゼフの代ですっかり呪いが解けたと感じ始めていた
- しかし昨日の朝、ジョンの元へ父と同じ文面と共にオレンジの種五つが送られてきた
- 消印はロンドン東局
- ジョンは途方に暮れ何もできず
- 警察に届けるも、にやにや笑われ信じてもらえず。ただし家に警官を一人配置してくれた
- 警官は家に配置しただけなので、ホームズのところへはついてきていない
- ホームズの言葉
- なぜすぐに来なかったのか
手紙が届いてから二日もたっている
もっと早くに行動を起こすべきだった
ホームズの言う行動とは?
ホームズは、ジョンは間に合うのだろうか?
【ネタバレあり】感想
ここからはネタバレを含みますので、嫌な人はまとめへジャンプか、ブラウザをそっと閉じてください。
ネタバレ嫌な人→オレンジの種五つの感想と名言:まとめへジャンプ!
いいですね、ネタバレしますよ、するからね、本当に、
すー
るー
よー!
オレンジの種が殺人予告
K・K・Kからオレンジの種が五つ送られてくること
それが警告となり、殺人予告にもなるという奇怪な事件。
伯父さんが死に、父が死に、次いで自分にも種が送られてきたときのジョンの絶望は想像できません・・・いたたまれない。
この「K・K・K」というのは、アメリカに実在していた秘密結社で、「キュー・クラックス・クラン」というんだそうです。
ドイルがこの作品を発表した1891年には自然消滅していました。(Wikipediaより)
よく実在の団体を登場させたにゃ♪
ドイルにどういう気持ちで書いたのか、聞いてみたいね
ホームズにとっても苦い事件
超ミラクルスーパーネタバレ行きますよ
い
く
よ
!
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この作品は「ホームズが依頼人を死なせてしまった事件」。
冒頭でジョンと事件の失敗について語っているのがフラグとなっていますね。
ジョン・・
ロンドンに殺されにきたみたいになっちゃったよね
ジョンへの手紙はロンドンの消印だった
ロンドンには近づかない方がよかった
「書類を日時計の上に置け」という指示が間に合うか分からないけど、いっしょに行くことはできたかもしれないよね
ジョンを守ることより、犯人を突き止めることを優先したのかな
そんなことないにゃ
どちらもやろうとした結果だ
でも、ジョンは実際に死んじゃってんじゃん
守れてないじゃん
- ジョンは武器を持っていると言っていた
- ジョンは危険が迫っていることも知っていた
- ホームズはロンドンからの消印で、近くに族がいることが分かっていた
ホームズとしては分担したんだと思うぞ
なるほど
あとから何を言っても結果論だね
犯人と事件についての感想
表すならば「後味の悪い事件」。
- 依頼人は守り切れずに死亡
- 犯人の名前や居場所まで突き止めるも、捕まえられていない
- 犯人の生死も明確に記載されていない
ジョンがあと一日早くホームズに依頼していたら、結果は違ったのでしょうか。
消印がロンドンだったから、ホームズに依頼に来た時点で守るのは難しいかもしれない
すべて解決できるわけじゃないにゃ
そういう失敗談を書いたことで、よりホームズが実在の人物だと勘違いされたんだろうにゃ
確かに
全部解決してめでたしめでたし、ってより現実味があるわ!
でも、どうやって殺したのかな
他殺の証拠はなにもなかったって言ってたね
これも永遠に解けない謎のひとつにゃ
オレンジの種五つ:名言
今回はふたつご紹介します
ひとつは完全なるネタバレです、ご注意ください!
僕は君のほかに友達は一人もいないよ
ふと顔を上げて、ホームズを見た。
「呼び鈴が鳴ったようじゃないか。こんな晩に誰が来たのだろう?君の友人だろうね?」
「僕は君のほかに、友達は一人もいないよ。話しに来いと人にすすめたこともない」
「じゃ依頼人かな?」
シャーロック・ホームズの冒険・オレンジの種五つ・新潮文庫・延原謙訳より
ワトスンは”自分のほかに友達はいない”と言われたことを、さも当たり前と言わんばかりに「じゃ依頼人かな?」とサラッと流していますね(笑)
2人が緋色の研究で出会ってから、おそらく6年は経っていると思われます。
ワトスンが結婚したあとはベーカー街に住んではいないが、こうしてたびたび訪れてはいっしょに事件を解決してきたんでしょうね!
唯一の友達だからね!
!超ネタバレ!観覧注意!
超ネタバレです、観覧注意!
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「せっかく僕を頼ってきたものを、むざむざと死なすために帰してやるなんて!」
シャーロック・ホームズの冒険・オレンジの種五つ・新潮文庫・延原謙訳より
ホームズの感情が爆発しています。
感情を抑えきれないほど興奮していますね。
「ジョンの仇をとる」というセリフも飛び出します。
こういった人間性が垣間見れるのも、ワトスンと一緒にいるときが多い気がします。
よほど心を許しているのでしょうね!
オレンジの種五つの感想と名言:まとめ
シャーロック・ホームズシリーズ短編「オレンジの種五つ」について書いてきました。
もう読んでいる方もまだ読んでいない方も楽しめていただけると嬉しいです!
簡単にまとめますと、
「オレンジの種五つ」のまとめ
- 「オレンジの種」というポップな題名からは想像しがたい奇怪な事件
- 永久に解明されないであろう謎が残る事件
- ネタバレのため言えないことがある事件
- ホームズの人間味あふれる感情に触れられる事件
- 奇怪な事件が三度の飯より好きだ
- ホームズの人間味に触れたい
- ワトスンが最初からかかわっている事件が読みたい
封筒にオレンジの種五つを入れたことがある
こんな感じですか。
なんだかネタみたいなまとめになってきました。
需要ありますか?(笑)
後味の悪い事件でもありますが、内容的にはめずらしく、とても素晴らしい作品です。
ぜひ読んでいただけると嬉しいです!
「オレンジの種五つ」が収録されている短編集はこちら↓
もうすでに読んだよっていう方は、他の出版社を読んでみてはいかかですか?
3つの出版社を比べてみた【新潮文庫・光文社文庫・創元推理文庫】シャーロック・ホームズシリーズ原作
それぞれ個性があって、とても面白いですよ!